子どもの本や 阿佐ヶ谷日記  2

東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-47-7 03-3314-3455「子どもの本や」では、子どもが心から楽しめる選り抜きの本ばかりを揃えています。

せいめいのれきし

「せいめいのれきし」岩波書店 バージニア・リー・バートン作 石井桃子

「せいめいのれきし」は、地球のたんじょうから、せいめいがうまれて進化をくりかえしながら人間の時代になっていく「壮大な物語」です。舞台の上で語られるこのお話は、生物の進化や地球の地質変化が書かれていますが科学の本というよりは 「生命のおはなし」です。

この夏、子ども達の大好きなこの本が改訂されましたのでご紹介します。この初版が出たのは50年ほど前です。2009年に米国でUPDATE EDITIONされたものを元に、日本では今回恐竜や地質に詳しい真鍋真博士の、監修で、東京子ども図書館の方も加わり 独自に改訂されたようです。
地質時代では、数字や用語が変わっているようです。子どもたちは、恐竜についての記載がかわっていることはすぐ気が付くかもしれません。
初版から50年の間に、新たな発見や進歩見解がかわったものもあり 今回の改訂で何について書き換えられたのか古い本と改訂版を見比べるとたのしいかもしれません。(個人的には改訂せず、注釈をつけて石井桃子さん訳には手を入れなくてもよかったのかしらと思ったりします)
古い方の筆をいれられていない 石井桃子さんの訳はやはりなんとんもすばらしいです。
科学のことをしりながらも、わくわくとしながら命のつながりの喜びのお話を実感します。


最終の五幕では、この本が書かれたバートンさんの暮らす時代になっていきます。 
四季の美しいうつろいがあり冬が終わり、うららかな春の夜明けを迎えます。そして、日は昇り傾いてゆっくりと夜になります。
そしてまた夜が明けるのです。
最後は、こうしめくくられています。
「このあとは、あなたのおはなしです。主人公は、あなたです。ぶたいのよういは、できました。時は、いま。場所は、あなたのいるところ。いますぎていく1秒1秒が、はてしない時のくさりの、あたらしい わ です。いきものの演じる劇は、たえることなくつづき――いつもあたらしく、いつもうつりかわって、わたしたちをおどろかせます」