「たくさんのおつきさま」徳間書店
秋の夜空を照らす月の風情と美しさはまた格別ですね。大人の私たちは、あの遠い空に浮かぶ月がいくら美しいとおもっていても手にはいるはずはないからあきらめていますが、「たくさんのおつきさま」は月を欲しがったお姫様のお話しです。レノアひめは十歳の小さなおひめさまです。ある日のこと木いちごのタルトをたべすぎて病気になってしまいました。おひめさまの病気をたいそう心配した王さまは「お月さまをもらったらきっとなおると思うの。」というおひまさまのためになんとかお月さまを手に入れてあげようとします。・・・・・・・知識や常識で頭が固くなった大人の姿が少し皮肉をまじえてユーモラスにえがけれています。
大人たちの理屈を自由な心で軽やかにとびこえてしまうレノアひめののびのびとしてチャーミングなおひめさまです。お話しと雰囲気のぴったり合った挿絵もすてきです。（ジェームス・サーバー文・スロボドキン絵）
