昨日、とても特別な存在である作家、「モーリス・センダック」が亡くなりました。
子どもの本やお便り・・・・・・・・・・(YT)
モーリス・センダックの数々の作品のなかで一番知られているのは「かんじゅうたちのいるところ」でしょうか。その他にも「まよなかのだいどころ」「まどのむこうのそのまたむこう」など一作ごとその内容と共に絵のスタイルも変化させ表現も中身も重層的にその芸術性を高めていったセンダックのすばらしい作品と、彼の仕事への情熱と姿勢に深い感銘を受けてきました。それだけにセンダックの訃報ときいて、大きく輝いていた星が突然空から姿をけしてしまったような淋しさがじわじわと押し寄せてまいります。
「私は子どもの読書を想定してかいているわけではないのですが最高の読者は子どもだということにもうずいぶん前からきづいています」とセンダック自身が言っている通り、センダックの絵本は大人にはなかなか分りにくいようです。私たちも初めて彼の絵本に触れたときになんだか底しれない魅力を感じるもののいったい何の事をいっているのやらさっぱりわかりませんでした。
自分の子どもたちや絵本の会の子どもたちとと何十回、何百回と読むうちに子どもの体温を通じてその楽しみやそのおくにあるセンダックが表現しようとしたことが少しずつ感じらるようになってきたような気がします。
センダックはそれまでの作家が表現してこなかった子どものこころの奥ふかくまで分け入りそして真実を絵本として表現した20世紀が生み出した最高の絵本作家です。センダックは自分自身の中にある ”子ども”と常にコンタクトを取りながら作品を描いていると言っています。子どもは、毎日恐怖、怒り、憎しみ、欲求不満などの感情におびやさかれているのにそうしたコントロールしがたい感情を飼いな慣らしていくために空想(ファンタジー)を行き来しつつ、現実の世界と折り合って生きてぬいている、その子どもたちの力への驚嘆と共感が彼の創作の源になっているのでしょうか。