子どもの本や 阿佐ヶ谷日記  2

東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-47-7 03-3314-3455「子どもの本や」では、子どもが心から楽しめる選り抜きの本ばかりを揃えています。

『銀のうでのオットー』 童話館

中世ドイツ、竜の館に住むコンラッド男爵と、戦いのさなか夫の男爵が死んだと思い込み絶望のあまり倒れて子を産んみ命を落とした夫人を両親のもつ男の子 オットーのお話しです。

オットーは母の死後、伯父である僧院長に預けられて、十二歳まで修道院で戦いを無縁な穏やかな日々を過ごします。突然、父のコンラッド男爵が突然あらわれ跡継ぎとして城に連れもどされます。そして、否応なく続いている戦いに巻き込まれてゆきます。
ついに何代にもわたり敵同士であったトルツ・ドラッヘン城(竜殺しの館)の当主、ローデルブルク家のヘンリー男爵に捕えられたオットーは、人質となり幽閉されてしまうのです。オットーはそのときに、けっしてとりもどせない大切なものを失い、また掛替えのない大切なものと出会います・・・。
・・後に自ら憎しみの歴史を断ち切ったオットーは、やがては皇帝の信頼厚い廷臣となります。

お話しは骨太です。細部が語られていないところは、作者ハワード・パイルの繊細で力強いさし絵がより多くを伝えてくれます。
小学校高学年から中学生くらいの方におすすめです。
童話館 ハワード・パイル作絵 渡辺茂男