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お医者さんの待合室でのこと、隣の席にいた小学1年生くらいの女の子がお母さんに`本が読みたい`と言っているのを聞き ‘あらどんな本かしら’と思っていましたらお母さんがバックからとり出したのは携帯電話。携帯の画面で女の子は「星の王子さま」を読み始めました。(あつかましくのぞき見したのはなく ママ好きな星の王子さまよ」とお母さんがいっていましたから)とうとうこんな時代がきたのかと複雑な思いでした。それから数日後iPadの日本上陸のニュースがにぎにぎしくテレビで報道されました。‘蔵書数は、4万5千冊が可能、家に本棚がいらなくなりますよ。’`家に帰ったら2才と6才の子どもが早速つかいだした’‘出版業界は大きく変化します。’と口々にテレビでコメントしているのを見ながらまたまた複雑な思いにかられました。本の内容と共に、本そのものに愛情を感じている私たちといたしましては、限られた画面の中で本を読むなんて味気ないのではないかしら、だいたい寝転んで読めないじゃないのとも思いましたが、人間の歴史をふり返ってみればいつの世も人間の暮らしは変化し続けてきたのですからいつか電子画面で本を読むということが普通になる日がくるかもしれません。ただ、幼い子どもが電子画面を駆使して絵本を楽しむなどという風にはなってほしくないと思います。絵本はお話の内容やさし絵の雰囲気が本の大きさや紙質などの本の装丁と一体になって、味わいや魅力になっているものです。
たとえば、「ちいさなちいさなえほんばこ」は、縦9.5センチ横6.8センチ
厚さ0.8センチの本が4冊。子どもたちは、その弾むようにリズミカルな言葉と
さし絵をたのしみ、それからケースを立てたり横にしたりひっくり返したり絵を
眺めたり、そして本をケースに入れたりだしたり本のカバーをはずしてその中の
真赤な布張りの美しい表紙にさわったり眺めたりして本をまるごと楽しんでいま
す。(冨山房)モーリス・センダック作 (YT)