「子どもの本や」10月のお便りより 大人の方におすすめの一冊
「色を奏でる」・・・・・・・・・・・・・・ 志村ふくみ文 ちくま文庫
『色を奏でる』は、草木の命をいとおしみながら自然がやどす色彩を大切に汲み上げるようにして糸に染め、 布に織ってきた人間国宝の志村ふくみさんのエッセイ集です。小さな文庫本ですが、布や糸、植物や風景の写真も、文章もほんとうに美しい本です。時折取り出してはパラパラとページをめくり眺めたくなる本です。読む側の心境のせいでしょうか、 年令を重ねたからでしょうか、読むごとに心を動かされる章が変わります。¨光の旅¨という章の中の一節です。
「光は屈折し、別離し、さまざまの色彩としてこの世に宿る。
植物から色が抽出され、媒染されるのも人間がさまざまの事象
に出会い、苦しみを受け、自身の色に染めげられてゆくのも、
根源は一つであり、光の旅ではないだろうか。」
一人の人間が一生の間に遭遇したり体験したりすること、すべて良いことも苦しいことも、自分自身の色にそめあげられていく¨光の旅¨であるとおもえば、辛い時も自身の人生を受け入れ、歩んでゆけるのではと励まされます。 (YT)
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